電子回路の測定や設計に欠かせない計測器、オシロスコープ。初めて購入や選定を検討する場合、「横河(Yokogawa)」と「テクトロニクス(Tektronix、通称テクトロ)」のどちらを選ぶかで迷う人も多いです。
長年プロの現場で使われてきた両者は、操作感や用途、普及度に違いがあります。本記事では、横河とテクトロの特徴を徹底比較し、用途別の選び方や横河派・テクトロ派の傾向も紹介します。
横河オシロスコープの特徴
国内での圧倒的普及度
横河オシロは国内の製造・設計現場で圧倒的に普及しています。特に電源回路設計やアナログ回路、組み込み機器開発などでは、職場に横河ユーザーが多く、操作方法やトラブル対応も相談しやすいのが強みです。
M帯域中心のラインナップ
横河のオシロは主に M帯域(数百MHz〜1GHz程度) が中心です。電気設計業務の大半はこの帯域で十分であり、G帯域(数GHz以上)の高速通信やRF設計を除けば、ほとんどの設計者が扱いやすい構成になっています。
教わりやすい操作性
日本語対応の画面表示や直感的なUIにより、初めてオシロを扱う人でも理解しやいです。大学でも横河のオシロを置いているところが多く、その流れで横河派になる人も多いです。職場環境が横河中心の場合、自然と「横河派」が増えます。
高価だが信頼性は抜群
法人向けの製品であるため価格は高めですが、堅牢性・精度・サポートの面で信頼性が高く、長期的に安心して使えることも選ばれる理由です。
テクトロニクスオシロスコープの特徴
海外シェアの高さ
テクトロニクスは海外の研究機関やグローバル企業で広く採用されています。特に通信分野や半導体、高速伝送の評価など、高度な解析が求められる現場での信頼度が高いブランドです。
G帯域モデルも充実
数GHz〜10GHz以上の帯域を持つモデルが揃っており、高速信号やRF回路の設計には必須です。M帯域中心の横河と比べると、特殊用途や高周波設計でテクトロは強力です。
高度な解析機能
波形解析、FFT解析、シリアルデータ解析などの多彩な機能を搭載しており、研究開発向けの機能面では横河を上回ります。操作に慣れるまで時間はかかりますが、学習すると幅広い用途に対応できます。
高価で限定的
法人向けの高性能モデルが中心のため、一般的な設計現場で導入されることは少なく、初めて触れる人にとっては「高嶺の花」的存在です。
横河派 vs テクトロ派
年齢層・世代による傾向
- ベテラン設計者はテクトロ派が多く専門性を重視
- 若手の設計者は横河派。近年急激な派閥の拡大を感じる
職場文化による傾向
- 一般的な製造業や電源・アナログ設計 → 横河が多数
- 高速通信・半導体・RF評価 → テクトロが採用されやすい
用途別の選び方
用途 | 横河 | テクトロニクス |
---|---|---|
M帯域(〜1GHz) | ◎ 一般設計・製造現場向け | ○ 一部解析向けだがオーバースペック |
G帯域(数GHz以上) | △ 対応が少ない | ◎ 高速通信・RF設計向け |
国内普及度 | ◎ 職場で教わりやすい | △ 限られた職場のみ |
解析機能 | ○ 波形・基本解析 | ◎ FFT・シリアル・高度解析 |
価格 | 高価(法人向け) | 高価(法人向け) |
FAQ
Q1. 中古オシロは使える?
A1. M帯域モデルなら中古でも問題ないことが多いです。ただし校正や保証の有無を確認してください。
Q2. 校正は必要?
A2. 法人で使用する場合、年1回程度の校正が推奨されます。個人利用なら自己判断で十分ですが、精度を重視する場合は校正サービスを検討してください。
Q3. 初心者が法人向けオシロを買う意味は?
A3. 法人向けは堅牢で長期使用可能ですが、個人の電子工作や学習目的では価格が高すぎます。コスパ重視ならRIGOLがおすすめです。
個人利用ならRIGOLも選択肢
横河・テクトロはどちらも高価で法人向け。個人で電子工作や学習用に購入するなら、**RIGOL(リゴル)**が人気です。Amazonや通販で入手可能で、M帯域モデルでも十分な機能を備えています。

まとめ
- 横河 vs テクトロは法人向けオシロの代表格
- 迷ったら横河派、特殊用途や研究開発ではテクトロ派
- 個人での購入なら RIGOL で十分
M帯域・G帯域や普及度、用途を意識して選べば、初めてでも安心してオシロスコープを導入できます。