はじめに
オフィスビル、病院、商業施設、工場など、多くの人が利用する建築物に欠かせないのが「電気設備」です。照明やコンセントだけでなく、空調や防災設備、通信ネットワークまで電気で支えられています。
建築設備の設計に配属された新人設計者がまず直面するのは「用語の多さ」です。図面には「MDF」「PF管」「EPS」「ELV」といった略語が当然のように記載されており、先輩や施工業者もそれを前提に会話を進めます。大学で勉強してきた電気理論や回路解析とはまるで別世界のようで、何を意味しているのかさっぱりわからず戸惑う人も少なくありません。
ここで重要なのは「会社独自の言葉」と「業界で広く使われる一般用語」を見分けることです。独自用語は先輩に確認すべきですが、一般用語を知らないと「勉強不足」と思われてしまいます。逆に最低限の略語を知っておけば、会話のキャッチボールがスムーズになり、「この新人は理解が早い」と良い印象を与えられるでしょう。
この記事では、建築電気設備設計で新人がまず覚えておきたい略語を「超初級編」「一般用語編」「規格編」に分けて一覧にしました。このリストにない語句は、会社独自の言葉や特殊なケースである可能性が高く、遠慮なく先輩に聞いて構いません。
1. 超初級編
| 略語 | 意味 |
|---|---|
| V | 電圧 |
| A | 電流 |
| W | 電力 |
| Lux | 照度 |
| AC | 交流 |
| DC | 直流 |
| Hz | 周波数 |
| kVA | 見かけ電力 |
| GND | 接地 |
| PF | 力率 |
2. 一般用語編
| 略語 | 意味 |
|---|---|
| ELV | エレベータ |
| EPS | 電気配線用シャフト |
| MDF | 主配線盤 |
| IDF | 中間配線盤 |
| LAN | Local Area Network |
| CCTV | 監視カメラ |
| PA | 放送設備 |
| AV | Audio Visual設備 |
| UPS | 無停電電源装置 |
| ELCB | 漏電遮断器 |
| SPD | サージ防護デバイス |
| MDB | 主配電盤 |
| DB | 分電盤 |
| PF管 | プラスチック可とう電線管 |
| CD管 | 合成樹脂管 |
| VE管 | 硬質塩化ビニル管 |
| PNL | 配電盤(Panel) |
| BATT | 蓄電池設備 |
| GEN | 発電機 |
| AHU | 空調機(Air Handling Unit) |
| FCU | ファンコイルユニット |
| DALI | 照明制御規格 |
| LED | 発光ダイオード照明 |
| EHP | 電気式ヒートポンプ |
3. 規格編
| 略語 | 意味 |
|---|---|
| JIS | 日本工業規格 |
| IEC | 国際電気標準会議 |
| NEC | 米国電気工事規程 |
| PSE | 電気用品安全法マーク |
| 建築基準法 | 建築安全の基準を定める法律 |
| 消防法 | 火災予防・防災規定 |
| JEITA | 電子情報技術産業協会規格 |
| JEM | 電気学会規格 |
まとめ(増量版)
建築電気設備は範囲が非常に広く、略語を覚えないと全体像を把握することすらできません。ここに載せた略語をマスターすれば、配属直後の図面打合せや施工業者との調整で「何の話をしているのか」が理解できるようになります。
逆にここにない言葉は、会社独自の略称や専門特化した用語である可能性が高いため、躊躇せず先輩に質問すべきです。「一般用語を調べた上で質問している」と思ってもらえれば、むしろ評価は上がります。
電気設備設計者として一歩目を踏み出すために、ぜひこのリストを活用してください。

