現場で使われる略語、用語一覧【工場・プラント・施工勤務の新人】

電気系用語

はじめに

工場やプラントの電気設計に携わると、最初に戸惑うのが「略語の多さ」です。
打合せ資料や配電盤の図面を見ても、MCCB、OCR、CT、VT… とアルファベットの羅列ばかり。先輩たちはそれを当然のように使うため、新人は「意味が分からないけど聞きづらい」という状況に陥りがちです。

電気設計では、略語は単なる省略形ではなく、機器や回路の種類そのものを指す“固有名詞” です。
例えば「NFB」と「MCCB」は見た目が似ていても、仕様や使い方に違いがあります。これを理解していないと、部品の選定や仕様書作成で大きなミスにつながりかねません。

また、この分野では会社独自の呼び方も数多く存在します。例えば「遮断器」を「ブレーカ」と呼ぶ会社もあれば「カットアウト」と呼ぶ会社もあります。こうした独自用語は素直に先輩に聞くのが正解ですが、JISやIECに載っているような一般的な略語まで知らないと、「大学で何を学んできたのか?」と不安に思われてしまいます。

そこでこの記事では、工場・プラントの実務設計で必ず出会う電気系略語を「超初級編」「一般用語編」「規格編」に分けて整理しました。新人が最初の壁を超えるための必携リストとして活用してください。


1. 超初級編(大学レベル+現場必須)

大学で学ぶ基本に加え、現場で確実に使う単位・基礎略号をまとめました。

略語意味
V電圧(Volt)
A電流(Ampere)
W電力(Watt)
VA見かけ電力
kVA容量(キロボルトアンペア)
PF力率(Power Factor)
Hz周波数(Hertz)
Ω抵抗(Ohm)
AC交流(Alternating Current)
DC直流(Direct Current)
SWスイッチ
GND接地
kW電動機容量(Kilowatt)
Lux照度(照明計算で必須)

2. 一般用語編(工場・プラントの実務)

工場やプラントの設計・施工図で必ず目にする略語です。

略語意味
MCCB配線用遮断器(Molded Case Circuit Breaker)
NFBノーヒューズ遮断器
MCB小型遮断器(Miniature Circuit Breaker)
ACB空気遮断器
VCB真空遮断器
OCB油遮断器
GFR地絡継電器(Ground Fault Relay)
OCR過電流継電器(Over Current Relay)
UVR欠電圧継電器(Under Voltage Relay)
CT電流変成器(Current Transformer)
PT/VT電圧変成器(Potential/Voltage Transformer)
TR変圧器(Transformer)
LBS負荷開閉器(Load Break Switch)
DS断路器(Disconnector Switch)
PAS気中開閉器
SWGR受配電盤(Switchgear)
MDB主配電盤(Main Distribution Board)
DB分電盤(Distribution Board)
MCC動力制御盤(Motor Control Center)
CVケーブル架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル
ELCB漏電遮断器(Earth Leakage Circuit Breaker)
SPDサージ防護デバイス(Surge Protective Device)
GISガス絶縁開閉装置(Gas Insulated Switchgear)
HV高圧(High Voltage)
LV低圧(Low Voltage)

3. 規格・法令最低限

規格を全て覚える必要はありませんが、現場で「JISに適合?」「IECではどう?」と必ず問われます。最低限これだけ押さえましょう。

略語意味
JIS日本工業規格
IEC国際電気標準会議
IEEE米国電気電子学会
NEC米国電気工事規程(National Electrical Code)
PSE電気用品安全法マーク
JEM日本電機工業会規格
JEC電気学会規格

まとめ

工場やプラントの電気設計は、略語の理解=現場での即戦力に直結します。
例えば「MCCBを100AFに変更して」「OCRの動作値を調整して」と言われたときに、その意味が分からなければ仕事になりません。しかし逆に、ここに載せた略語を一通り理解していれば、先輩からの指示の8割はスムーズに理解できます。

重要なのは、「ここに載っていない用語=会社独自や専門性の高いもの」という認識です。その場合はむしろ積極的に先輩に質問することで、「しっかり勉強している新人だ」と好印象を与えられます。

略語は最初はとっつきにくいですが、図面やカタログを読みながら自然に身についていきます。最初のうちは毎日のように新しい略語に出会うでしょう。そのたびにこのリストを見返し、理解を積み重ねていくことが、電気設計者として一人前になる第一歩です。

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